oo-arashi’s blog

遊戯王1103環境について語ってます

【カードが違います】裁定が違う理由を考える【KONMAI語】

はじめに

今回は普段書いてるような記事とはだいぶ趣向を変えて、遊戯王のルールに焦点を当てて行きたいと思います。

今回取り上げるのは、六尺瓊勾玉/神罰と闇の護封剣になりますが、内容的には1103プレイヤーでなくても楽しめると思います。反面、遊戯王を始めたての方だと、ちょっと何言ってるか分からない内容なので、ルールの基本部分は知っている中級者向けの記事になります。

ちなみに、根拠はwiki頼りな所が多いので、信憑性に欠ける部分があるのはご了承ください。

 

六尺瓊勾玉

まずは、自分が1103環境でよく使う六武衆から、六尺瓊勾玉を紹介します。このカードは、自分の場に六武衆モンスターが存在することを条件に、「カードを破壊する効果」を無効にして破壊します。悪くはないカードですが、発動条件の部分は見逃すことが出来ない弱点です。

六武衆を使う上で注意しなければならないのは、真六武衆シエンのS召喚に対する召喚無効(例:神の警告)ですが、この召喚無効が発動されたタイミングでは、シエンはフィールドに存在していない扱いのため、六尺瓊勾玉は召喚無効を止めることが出来ません。

ここまでは1103プレイヤーなら誰もが知っているようなルールだと思います。

 

神罰

一方で、六尺瓊勾玉に似たような発動条件、効果を持った神罰というカードがあります。

  • 発動条件:フィールドに天空の聖域が存在する時
  • 効果:モンスター効果/魔法/罠の発動を無効にして破壊する。

球なし代行の作成中に出会ったカードですが、このカードのwikiを見て自分の目を疑いました。

ひとつずつ見ていきましょう。

 

天空の聖域にチェーンして発動された「サイクロン」に、神罰は→◯発動可能。

これは全然理解出来ます。永続カードやフィールド魔法にチェーンをしてサイクロンを発動すると、効果処理時の効果を無効に出来るのは、現代プレイヤーでも1103プレイヤーでも知っていることでしょう。ただしこの効果無効は、サイクロンによって「発動を無効」にしているわけではないので、「天空の聖域は場に出ている=神罰が発動出来る」という理解で良さそうです。

 

天空の聖域にチェーンして発動された「神光の宣告者」に、神罰は→◯発動可能。

ちょっと雲行きが怪しくなってきました。念のためパーデクの効果を見てみますが、はっきりと「発動を無効にし」と書いています。

“神の警告に対する六尺瓊勾玉”との違いを無理矢理に考えようとすると、無効化をモンスターが発動している点に理由があるのかも知れません。例えば、「スペルスピード2のパーデクより、スペルスピード3の神罰のが強い」とか…。もしくは、パーデク側が固有の裁定を持っている場合も考えられますが、いずれにしても、一旦このQAは置いといて次に進みます。

 

天空の聖域にチェーンして発動された「神の宣告」に、神罰は→◯発動可能。

KONMAIくんもう言い逃れ出来ないねぇ。パーデクはなんとか理屈を考えたけど、神宣無効は流石に擁護出来ません。六武衆使いの自分もこの裁定には怒り心頭です。

  • 六武衆の召喚→神の警告→六尺瓊勾玉

が発動出来なくて、

  • 天空の聖域→神の宣告→神罰

は発動出来る理由なんて思いつきません。お得意の「カードが違います」ってやつでしょうか。KONMAI語と揶揄されるのも仕方ありませんね。

そんなこんなで、理解することを諦めて2〜3ヶ月が経ったある日、王宮の弾圧のwikiを読んでいたら、答えのようなものを見つけました。

 

結論から言うと、モンスターには「フィールドでも手札でもない場所(仮に“空中”とします)」の概念が存在するが、魔法・罠にはこの“空中”の概念がないようです。

これはただの憶測ですが、場所を問わず、墓地に送られれば効果を発動する最強クリッター時代に、この辺りのルール整備が行われ、モンスターには空中を用意する必要があったが、魔法・罠には空中が用意されず、このような裁定の違いが出ているのではないかと考えました。

もしくは、張り替えルールのあったフィールド魔法は、発動した瞬間にあらかじめ貼られていたフィールド魔法を破壊するので、「場に出る」判定的なものをモンスターとは変える必要かあったのかも知れません。

いずれにしても、この推測で正しいかを証明する術はなく、答えはKONMAIのみぞ知る、というやつです。

 

(2024/2/20追記)

魔法罠には“空中”がない、と結論付けましたが、そうではなかったようです。

シエンに発動無効された魔法罠は、フィールドで破壊された扱いにならず、スターダストで無効に出来ない裁定がありました。そもそも王宮の弾圧が「発動無効」ではなく「効果無効」ということを失念していました。

この辺りの答えは、↓に詰まっていそうです。

つまり、無理矢理日本語に翻訳すると下記のような感じになります。

  • シエンが発動を無効にするカードは、その時点では確かにフィールドに存在している。
  • しかし、「発動を無効にする」という行為が、カードをフィールドではない所で破壊する行為である。
  • そのため、「フィールドのカードが破壊される場合」にしか反応出来ないスターダストは、シエンを止めることができない。

一応この考え方でいけば、勾玉vs神警/宣告vs神罰/シエンvsスタダの全ての裁定で辻褄が合う理解が可能ではないでしょうか。

結論をまとめると、勾玉と神罰の裁定の違いは、モンスターの召喚無効と、魔法罠の発動無効の違いにあるようです。

  • モンスターは召喚に成功するまで、フィールドには存在していない扱いである。
  • 魔法罠は発動を無効にされる場合でも、その直前まではフィールドに存在している扱いである。ただし、発動を無効にされた魔法罠は、フィールドで破壊された扱いにはならない。

そのため、発動を無効にされる魔法罠を対象にサイクロンを発動出来るが、召喚を無効にされるモンスターへ破壊輪は発動出来ない、という違いも出るようです。

 

闇の護封剣

もう一つ、「カードが違います」ならぬ「言語が違います」と言えるような、面白い裁定を紹介します。

事の発端は世界大会2016、環境は青眼が覇権を握っており、青眼の精霊龍から繰り出される銀龍対策として、闇の護封剣が活躍していました。

精霊龍はフリーチェーンで銀龍を呼び出す

 

特殊召喚成功時にドラゴン族に耐性を付与する

しかしそれは日本国内(及び一部の国)のみの話で、世界大会開催国のアメリカでは裁定の違いから、闇の護封剣が対策カードになり得ませんでした。

その裁定の違いとは、

  • 日本・・・効果解決時に、フィールドに存在するモンスターを裏側守備表示にする。
  • アメリカ・・・“発動した瞬間にフィールドに存在していたモンスター”のみを裏側守備表示にする。

というものになります。つまり、日本の裁定では銀龍を裏守備に出来ますが、アメリカの裁定では銀龍を裏守備に出来ません。この辺りの詳細は闇の護封剣wikiでも確認できます。*1

このような違いが発生した原因に、言語の違いがあると考えられます(※ここから先は根拠のない憶測です)。おそらく悪さをしているのは、日本語版テキストの冒頭「このカードの発動時に」の部分。確かにこの一言がないと、永続魔法故に「発動中は新たに出したモンスターも裏側にし続けるのか?」という解釈も出来てしまいます。

しかしこの一言を足したことで「発動時に」という言葉が「モンスター」にかかる修飾語になり、「“発動時に存在するモンスター”を裏側にする」と誤解され、「When you activate this card」の英訳と、海外の様な裁定が生まれたのだと考えます。

闇の護封剣のテキストを「このカードの発動時に“”相手フィールド上に存在する〜」としていれば、また話は変わっていたかも知れません。

日本での裁定を考えると、この「発動時に」の意味は、いわゆる「効果解決時」を指しています。遊戯王において効果処理を行うのは、発動時ではなく効果解決時なのだから、実質的には意味のない言葉を書いています。実際、似た効果の光の護封剣*2のテキストには、「このカードの発動時に」の一言は記されていません。

しかしこの違いは、闇の護封剣が永続魔法で、光の護封剣が通常魔法である事も起因していそうです。話が一周しますが、「発動中は新たに出したモンスターも裏側にし続けるのか?」の誤解を解くためには、必要な一言だったのかも知れません。それなら光の護封剣にも同じ一言を付けて良さそうですが、発動時以外には(原則)効果処理がない「通常魔法だから」という理由で、この一言を書かないKONMAI語のルールがあったのかも知れません。

このルールが海外事務局と共有できておらず、「わざわざ光の護封剣では書いていなかった一言を足したのだから、効果処理も異なってくるだろう」との誤解を生み、闇の護封剣海外裁定が生まれた、というのが自分の推測になります。

ちなみに海外の光の護封剣は、「When this card is activated」と明記されています。闇の護封剣の「When you activate this card」とは意図的に書き分けている感じがあります。炎舞-「天璣」にも書かれているワードのため、どんな効果処理になるか想像しやすいですね。

ちなみに、現在では海外版闇の護封剣はエラッタされ、日本と同様の裁定となっています。

「When this card resolves(=解決)」と表記され、効果解決時に処理することが分かりやすくなっていますが、何故光の護封剣や炎舞-「天璣」と同じ書き方をしなかったのでしょうか。気になる所ですが、これ以上はやめておきましょう。消される可能性があります。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。遊戯王のルールといえば、「選択して」と「選んで」の違いや、「時・場合」「する・出来る」の組み合わせで効果処理が変わることに頭を悩ませるのは、誰しもが通る道だと思います。そこから段々ステップアップしてルールを覚えても、やっぱり納得いかない裁定に出会うことがあると思います。

このルールの難解さについてどうこう言うつもりはありませんが、今回紹介した2種類の裁定を見ると、「訳は分からんが、裁定がそうなる根拠があるっぽい」ということは何となく伝わってきます。もしこの根拠(ルール)の部分を、KONAMIが把握しきった上で裁定作りをしているとしたら凄いですね。一見日本語っぽい何か別の言語(=KONMAI語)を創造したのは素直に感心です。

今回はこんな雑な感じで〆ます。

*1:https://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%B0%C7%A4%CE%B8%EE%C9%F5%B7%F5%A1%D5

*2:闇の護封剣登場から2ヶ月後に再録されたVerなので、テキスト表記のルールも同一のはず