oo-arashi’s blog

遊戯王1103環境について語ってます

六武衆総論

 

はじめに

第10回寒波亭が4月9日(日)に行われ、そちらの参加レポートも書こうと思っているのですが、記事の順番的に前回のやり残しを放置したくなかったので、先にこの記事を執筆します。

前回記事で少し触れましたが、本記事では「六武衆」というデッキタイプについて、主観多めで書くつもりです。これから1103を始めようとする方、六武衆を始めようとする方、(1103に限らず)六武衆をずっと使われてきた方へ、是非読んで頂きたい内容になっています。

最強プレイヤーというには程遠いですが、六武衆の熟練度はそこそこ高いと自負していますので、読者の方に何かしら得られるものを提供出来ればと思います。もちろん、「これが絶対」というつもりはないのであらかじめご了承ください。

 

 

1.大会で六武衆を選ぶメリット

まずはデッキの選択理由から、とも思いましたが、そもそも自分が六武衆を選択した理由は「ずっと使ってるから」以外の何ものでもないです。他にデッキを持っていないのかと問われるとそうではなく、環境デッキと呼ばれるデッキはほとんど作りました。

 

客観的なデッキパワー(ランク表)よりも、自分自身の経験値を頼りにした結果、大会における六武衆の優位性がなんとなく分かったので、この記事で書き散らしておこうと思います。卵が先か鶏が先か、ではないですが、この優位性を分かった上で六武衆を選択したのではなく、使用したから優位性が分かっただけなので、結構後付け感はあります。本来は前者が好ましいですね。

 

1.先攻時の圧倒的なパワー

早速説明不要のテーマです。先攻ドローありの寒波亭ルールおいて、先攻の方が好ましいのはどんなデッキにも言えることですが、六武衆は特に恩恵を受けられます。

モンスター召喚3伏せエンド、くらいは、どのデッキでも1ターン目にやってきますが、流石にこれだけで勝負を諦めるプレイヤーはいないでしょう。それが、結束カゲキ影武者シエン2ドロー、となると、「この1戦は負けてもしょうがない」と思う方もいるのではないでしょうか。勝負が始まった瞬間から、高めの勝率を既に持っているのは、六武衆の強みの一つだと言えます。

 

2.プレイの明瞭さ

六武衆はモンスターを次々に並べていく展開系デッキではありますが、ジャンド・カラクリのような複雑な展開ルートや選択肢はありません。

フリー対戦を前提に考えると、展開ルートの複雑さは練習でカバーしろという話になりますが、大会になるとこの複雑さの部分は無視できないと思います。

冷静に考えて、休日の早朝に起きて4-5回戦の予選をなんとか突破して、夕方から負けの許されないトナメを行う間、一回もミスしないというのは人間には無理な話じゃないですか?

その点六武衆は、せいぜい狼煙で何をサーチするか、カゲキ影武者するか、カゲキヤイチするかに悩むくらいで、カゲキから複雑な分岐があるわけでもないです。デッキテーマの根本がそもそもゴリラプレイ推奨*1なので、プレイヤーの思考に負担をかける要素が少ないのは、大会シーンでは割と重要だと考えます。

使い慣れたデッキの方が大会での勝率が高い(気がする)のは、この負荷の少なさが影響しているのではないでしょうか。まぁ、六武衆は負荷が少ないって考えは、自分が六武衆に慣れてるだけってオチかもしれません。

 

3.門というカードの存在

 これまでの記事で、事あるごとに「門は除く」と言ってきましたが、このカードの存在こそ六武衆最大のメリットです。似たようなパワカとして、特殊レギュで準制限となっている血の代償がありますが、決定的な違いはこちらが魔法カードであること。

血の代償のベストな発動タイミングとしては、召喚反応罠に引っかからない相手の1ターン目のバトルフェイズ終了時です。しかし、上手いプレイヤーはガジェを戦闘破壊出来る状況でも、バトルフェイズに入らずしっかりケアしてきます。

一方六武の門を発動された時はケアもクソもなく、カゲキ影武者が揃っていないことをお祈りするか、門を引かせた自分のカットを恨むか、カゲキにヴェーラーを当てるしか対抗手段がありません。

ヴェーラー(or朱光)を採用したデッキに当たり、且つドローされてる確率が低いことは言わずもがな、あとは門を引いた時に発動出来る構築にさえすれば、ドローするだけで勝てる1枚エクゾディアの完成です。

 

少し脱線しますが、遊戯王とは全くの別ゲーの全1が、強キャラの定義を語っていました。

「扱うのは難しいけど、使いこなせれば最強」のキャラは本当に最強なのか? 人間である以上、大会で最後まで勝ち上がることを考えるなら、キャラにはプレイヤー側が甘えられるパワーが必要なのではないか?

この甘え要素こそ門というカードの存在で、引けば勝てる/引かれたら負けるカードがあるだけで精神的にも優位に立てます。大会優勝までの道のりで、緊張を解いていい瞬間はそうそうありませんが、門でeasy Winすることで、自分自身の体力(思考)のリソースを温存することができます。

まぁ、前回も今回の寒波亭も、門・ダストシュートを引いて甘えた所でプレイが雑になって、しっかりそこを咎められて負けてるから説得力ないですけど。というよりローチを召喚する時h(ry…

 

2.六武衆のススメ

六武衆のメリットを確認したところで、ではどんなプレイヤーに六武衆をおすすめ出来るかを語っていきたいと思います。

 

1.1103を始めて間もないプレイヤー

メリット1〜3から共通して言えることは、相手とのプレイヤースキル(=PS)に差があっても、六武衆は勝てる可能性のあるデッキということです。

先攻を取るのも、結束カゲキ影武者をするのも、門をドローするのも、そこにPSが介在する余地はありません。チャレンジカップの時は、決勝に限らずPSで負けてるなと思う相手がいましたが、先攻門/ダストを何度か決めて優勝したことからも、この主張は裏付けが取れていると思います。

また、1103の経験(知識)を積めば積むほど、ケアするプレイングも上手くなっていくと思いますが、六武衆には何かをケアし切れるほどのデッキパワーは無いと思っています。

 

「ケア」について*2

また別ゲーの話ですが、「ケアというのは、有利側だけが出来るプレイであって、不利側がケアしても不利状況は好転しない」とのセオリーがあります。これは遊戯王にも当てはまると思います。

例えば、ライフも盤面も有利なプレイヤーが、聖バリ/ゴーズという逆転のカードの被害を最小限に抑えるために、攻撃しないorモンスターが複数いたら1体は守備表示にする、といったプレイをすることはよくある話だと思います。

一方、不利側のプレイヤーが、聖バリ/ゴーズを怖がってずっと攻撃宣言をしないと、取れたはずの(戦闘破壊による)ボードアドやライフアドを拾えず、ひいては自ら逆転の可能性を捨てることに繋がります。

 

これを六武衆に置き換えると、1つ目の記事で挙げた「キザン召喚→奈落→シエン効果」が良い例です。相手の伏せが激流葬だと思ってシエンを温存(=奈落を甘んじて受ける)してもジリ貧、激流葬を読んでそもそもキザンを出さなければライフを取れずジリ貧。手札に七つ道具があれば流石に1ターン待ちますが、状況によっては激流葬を割り切って奈落をシエンで止める判断が必要になってくるかと思います。

反対に「シエン(+御霊代)の攻撃宣言時砂塵→シエン→砂塵」となった前回決勝は、一番貰ってはいけない次元幽閉をケアして砂塵を通しても、全然有利状況にはなりません。結果論ですが、このシーンは次元幽閉を切ったことで勝ちに繋がっています。相手の方の反応からしても、こちらがケアをする読み(=こちらを信用して)もあったと思いますが、その信用を裏切るプレイがシエンには必要です。

余談ですが、シエンの発動は六武衆の醍醐味であり、面白い部分でもあります。こちらが止めない読みで発動されたカードを止めたら、実はこのターン使える魔法罠はその一枚だけだったなんてこともありますし、この一枚をシエンで止めた時の気持ちよさは、筆舌し難いものがあります。カイジとかライアーゲームが好きな方はきっと六武衆も気に入ると思います。

 

「六武衆は動き出したら常に綱渡り(古事記より引用)」と言われているのは、デッキの根本からそもそもケアがしにくいことが由来だと考えます。言ってしまえば、盤面を返されたら立て直しが効き辛い六武衆は、常にケアしてる余裕のない不利側であるということです。

シエンの効果発動は、慣れてない方からすると一見判断が難しそうですが、上記のようにケアを考えて温存しても勝てません。であれば、激流葬/次元幽閉はあったら負けと割り切って、シエンを発動していく方が勝率は上がると思います。1-2.でゴリラプレイ推奨と言ったのは、こういった点からです。

初心者の方はそもそも経験値が低いと思うので、プレイ中の細かなケアまで気が回らないと思いますが、この理屈でいえば六武衆はケアに気を回さなくていいので、そこが良い感じに噛み合っています。

 

しかしこれは、「PSのある方に六武衆はオススメ出来ない」ということの裏返しにもなります。第10回の寒波亭では、パペプラケアをした結果負けた試合がありました(結果論なのかもしれません)し、準決勝でのカボチャさんも、ライコウ読みの露払いがクリッターを踏んで流れが悪くなっていました。これは決して、パペプラやライコウ読みのプレイングが悪いのでは無く、その読みについて行くだけのパワー(余力)が六武衆にはないのだと思います。

こういった点から、残念ながら六武衆は1103環境において「最強に最も近いデッキ」ではないと思います。ゴリラプレイをして毎回勝てれば苦労はありませんが、そのまま激流葬/聖バリを食らってオワる試合も当然発生します。

プレイングでのケアがし辛い点が、強いプレイヤーほど六武衆の評価を下げる要因だと思います。かと言って六武衆が大会で結果を出さないかというとそうではない。「評価は高くないのに結果は出る」カラクリ(=仕組みの意)は、六武衆特有のデッキパワーに由来するものと思われます。

 

2.六武衆が好きな方

話がだいぶ脱線しました。何の話をしてたっけ?って感じですよね。「どんな人に六武衆をオススメ出来るか」です。

六武衆が好きな方に六武衆をオススメするってわけ分からんボルギーニですが、色んな時代の六武衆を使ってきたからこそ、語りたいことがあります。

まず結論から言うと、「六武衆」の歴史の中で、1103が最も楽しく、且つ最も強い時代だと思います。1103直前の、門3枚時代が最強ではありますが、それが楽しいかと問われると、少なくとも自分は違います*3。また、ハリサモソFWD時代の六武衆も結構面白かった記憶があるのですが、その頃には新しく刷られたカードに完全に置いてかれてしまっていました。

「六武衆で楽しく勝つ」遊戯王がしたい方は、是非1103をプレイしてください。ただ、対戦相手からすると「楽しく」には疑問符がつくので、友達と楽しくフリーする場面ではあまりオススメ出来ないかもしれません。飽くまでトーナメントを意識した調整等での対戦が理想ですね。

 

また、自分の作った「強謙型」六武衆も画期的だと自画自賛しますが、1103の六武衆はまだ限界値を出し切っていないと思います。これは六武衆に限った話ではなく、当時では無かったアライブヒーローというデッキタイプの誕生や、TGマシマシガジェが優勝したりと、寒波亭が既に10回も開催しているのに、1103はまだまだ発展の余地のある環境です。

 

ここからはかなり特定の方へ向けた話ですが、自分が六武衆を使ってきた10年で、多くの六武衆プレイヤーを見てきました。征竜魔導環境で謎の永続魔法を入れて結果を出した方や、ガンマンループでしか勝つことが出来なくなった時代に、苦しみながらも六武衆を使って結果を出した方、今なおマスターデュエルや現代遊戯王で六武衆を使い続け、YouTubeに動画投稿している方と、自分はずっとその方々の背中を見て育ってきました。もしまだ六武衆への愛着が残っていれば、是非この時代の六武衆を握り直してみてください。

この記事では六武衆のパワーは低めとの評価をしましたが、これは今の自分が引き出せるパワーの範囲内での話です。この評価を覆せるプレイヤーがいることを自分は知っています。あなたがまた、六武衆を使って結果を出す所を、是非見せてください!

 

おわりに

チャレンジカップで優勝した時から言いたかったことはこれにて言い切りました。優勝時は乗ってた筆も、時間が経つにつれて調子乗りすぎじゃね?となって第4部を描くか迷っていたのですが、再度結果を出した勢いに任せてなんとか執筆まで漕ぎ着けました。まぁ結果を出したとは言ってもトナメで一回も勝ってないんですけど…

勝ってないんですけど、また語りたいことが出来たので、第10回寒波亭レポートは書くつもりです。ただ第10回から第11回までの間が1ヶ月しかないうえに、もう半月過ぎてることから、11回直前に、前回レポートを書き上げることになりそうです。

そんななんやかんやは置いといて、ここまでお読み頂きありがとうございました!

*1:後述します

*2:癖強めの持論を展開します。「ふ〜ん」くらいで流してください。

*3:門3枚時代が一番楽しいと言う勝利に飢えたプレイヤーを否定はしません